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映画「ジェシー・ジェームズの暗殺」と悪党ディック・リディルの生涯

以前にもこの映画の感想を書いた。

映画「ジェシー・ジェームズの暗殺」
http://bessousaisei.blog.fc2.com/blog-entry-136.html

最近、ジワジワとこの映画の良さに気付き始めて珍しくもう一度全編を通じて見た。

また寝る前に、よくこの映画を見てその世界に浸っている。




ジェシー・ジェームズを描いた映画といえば淀川長治の日曜洋画劇場で何度も放映された「ロングライダーズ」が有名だ。
この映画は中学生以来、何十回も見ている。

ライ・クーダーの美しいアコースティックギターを主体としたサウンドトラックもこの30年間聴き続けてきた。

だが、この2007年のブラッド・ピットの映画「ジェシー・ジェームズの暗殺」はそのリアリズムにおいて際立っており、ウォルター・ヒルの「ロングライダーズ」がおとぎ話に思えるほどだ。




ジェシー・ジェームズの生きた時代、金庫を狙う事を生業にするアウトローは金儲けのエリートだった。

ジェームズ・ギャングは、南北戦争のゲリラ戦で培った人脈とスキルで繰り返し銀行や列車を襲った。彼は当時の人々の尊敬を集めていたカリスマ的な人物だった。

黒沢明が「影武者」を描いた時、戦国時代を生きたカリスマの巨大な影を描いたが、映画「ジェシー・ジェームズの暗殺」もまた、ジェシー・ジェームズと言うカリスマの巨大な影を描く。

1880年代にはジェームズ・ギャングのほとんどのメンバーが逮捕されるか殺されて、ジェシー・ジェームズは小説の中の寓話と化していた。

だが、ジェシー・ジェームズは生き延びていた。彼は、南軍ゲリラの生き残りのようなプロをもはや仲間にはせず、もっと陽気で軽薄で夢想的な若者たちを仲間に加えていた。




私がこの映画でもっとも興味を覚えた人物はディック・リディルである。

dick.jpg
出展:https://en.wikipedia.org/wiki/Dick_Liddil

幼少期よりジェシージェームズの小説を愛読してジェシーに憧れるボブ・フォード。ロマンチストで女好きのリディル。この2人の友情が、やがてジェシージェームズ謀殺へと発展して行く。




ジェシーというアメリカ史のカリスマを暗殺したボブ・フォード。
彼は、短期の名声を浴びた後、一転してアメリカ国民からの罵倒を浴びた。
兄ロバート・フォードは精神を消耗して自殺、ボブ・フォードもまた流れ者のアウトローに暗殺される。
(ボブ・フォードを暗殺したアウトローも出所後に警官との撃ちあいで死んでいる。)

リディルは、ボブ・フォードと共に酒場を経営するなどした後、有能な馬の訓練士となり、やがて訓練所の経営者として成功した。1901年に心臓発作で死亡。




伝説的なジェームズ・ギャングの最後のメンバーだったボブ・フォードはブロードウェーの人気役者となりその後、酒場を経営して最後は暗殺された。

同じくジェシー謀殺のメンバーだったアウトローのリディルは、馬の訓練士として1901年まで生きた。

新選組の斎藤一が女学校の事務員として働き長寿を全うした事に同じぐらい興味深いエピソードだ。



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