サム・ペキンパー「荒野のガンマン」

以前感想を書いた「パット・ギャレットとビリー・ザ・キッド 」と同じサム・ペキンパーの監督作品。

この映画を見るのは2度目だ。
ペキンパーの作品群の中では地味な印象だが、なぜか心に残る。

1度目に見たときは、ありがちなガンマンが主人公の西部劇だと思ったが・・・2度目に見て、やはりペキンパーらしさが細部に出ている作品だとわかった。

この映画の全編を通して漂う雰囲気は、戦争の傷跡が癒え切らない社会と言うところだろうか・・・。

体内に弾丸が残り銃をまともに撃つことができないブライアンキース演じる主人公のガンマン。額には、サディストの南軍脱走兵に頭の皮を剥がれそうになった時の大きな傷跡が残る。

ヒロインは、ダンスバーで汗に臭いの染みついた疲れた男たちの相手をして働くモーリン・オハラ演じる未亡人。

そして、敵役となる男は、前述の南軍脱走兵なのだが、ニカラグアを侵略したアメリカ人ウィリアム・ウォーカーのように私兵を率いて自分の王国をつくる妄想に憑りつかれているアル中のクズ男。

この3者が基本的な登場人物だ。

主人公は、頭の皮を剥いだ南軍脱走兵への復讐心に憑りつかれてこの数年を生きてきたが、モーリン・オハラ演じる未亡人と苦難を共にすることで改心し、クズ男への憎しみの感情から逃れることができた。一方で、戦争から最悪のものしか得なかった南軍脱走兵のクズ男は、狂気の夢をふくらませ・・・。

ペキンパー自身が、第二次大戦の戦争後遺症に悩まされてアル中・薬中へになってゆくが、そうした体験も織り交ぜて、戦争に翻弄された後で、ボロボロになりながらも愛(希望)を見つけた男と、環境から悪いモノだけを吸収し自らの妄想の掃き溜めの中でもがくクズ男との対比を鮮烈に描いている。

何度見ても、疲れた中年女性役のモーリン・オハラが素晴らしい。「コルドラへの道」のリタ・ヘイワースを思い出させる名演。

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