手放さなくても良い山荘

かなり周囲が荒れてみすぼらしい別荘地になってきたが、自分の山荘への愛情は深まるばかりである。いまさら手放してもたいしたプラスにもならないし、手放せばこのような贅沢な山荘を手に入れる事は2度と出来ないのだから、その意味でも手放す必要もない。こう悟れた事はある意味幸せかも。山荘を保ち長持ちさせるために出来る事をコツコツやってゆこう。

50代の生活を見据えれば、高地での定住生活は少々厳しいものになってくることは目に見えている。

今の生活のマイナス面 in 播磨自然高原
・冬場の寒さが半端ない(健康へのマイナス=光熱費も相当かかる)
・気圧の不安定さが耳など身体の繊細な器官に与える悪影響
・どこへ行くにも往復50-100キロの超絶不便な住環境
・文化面での豊かさがゼロなため町から受ける刺激の乏しさ
・自主管理別荘地の雰囲気の悪さ・管理のお粗末さ(人材の乏しさ)
・2キロ先に計画されている産廃処分場。

こうしたものが、居住10年を迎えて、少々耐え難いものになってきたのも事実で、10年弱先に定住地をもっと都会に移す事を考えはじめている。その場合、住居としてではなく、純粋な別荘としてこの山荘を所有し続ける事になる。姉の家族や赤穂の友人たちに使わせることも出来る。将来は人に貸しても良いかも。こうした余裕あるものを一つ持っておくことは、贅沢でワクワクする。田舎物件など2度と買いたくないし、オンボロ別荘地などとても人にも勧められないが、すでにあるのだから手放す必要は無いのだ。

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今後の人生において、守りたい事は以下の事。

1.シンプルライフ:極力モノを少なくして、心躍るもののみを残す。
     → 自由度を最大限に:手間のかかるルーティン削り、生活の自由度増。理想を言えば、冬場は温暖地(沖縄・九州)で暮らせるぐらいの自由度が欲しい。

2.仕事第一の環境:これからの世代は一生働く世代なのだから、何よりも何にも煩わされず楽しく仕事ができる環境を作る事が大事。
  バカな暇人・赤の他人に煩わされない場所を自分の居場所にする。

3.健康へ人一倍気を遣う:老齢化してゆくにつれ健康であることの価値が増す。歯磨きもそういう意識で。
  市立病院の徒歩圏内に住む。毎日数時間は思索と散歩に費やせるぐらいの、刺激と深みのある町に住む。



愛することができる町

ポーの短編小説集「グロテスクとアラベスク」の現代的解釈とでもいうべき、クライブ・バーガーの小説「血の本」シリーズ。中学生の時にはまったホラー小説だ。

バーガーの小説を読むと、今でも想像力が羽ばたく。「夢の中」という短編小説。砂塵の荒野に、殺人現場が切り取られ無造作に並べられる殺人者が住む町。その白黒の町の光景。鮮明な夢のようにその町の姿を想像できる。

町というものは、中学生のころから、自分にとってもっとも感受性を刺激するものであった。散歩をしていて、雑木林の中の小道を抜けると、突然ビル街が現れ、人が誰もいないガランとした通りが続いている。自宅周辺でそのような場所を見つけた時の心の高揚感。

大人になるにつれて、神戸の北野坂という、ぽっかりその場所だけ異国の空気が漂う、魔法のような空間を見つけて、自転車で毎月のように通い詰めて、その場の空気を吸い高揚感に浸った。海外では、中学生の時に訪れたヴェネチアの旧市街に魅惑され、20歳の時にもそこを訪れて感動に浸った。

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今、同じように高揚する場所を近隣に見つけることができた。赤穂城周辺だ。これからもっともっと、この魔法のベールに包まれた場所で過ごす時間を増やしたい。

不思議な事に、犬たちも自然ではなく町が好きだ。別荘地では数分でも散歩を拒否する11歳のオス犬も、町につれてゆくととたんに夢中になって何時間で散歩し続ける。町には、そこで暮らす人々の人生のさまざまな記憶が折り重なっている。犬は臭気を通じて、その場所の奥深さに魅惑される。私が歴史ある町が発する深みを求めるのと同じぐらい、犬たちもその深みに夢中になっている。

昔、20代後半に仕事中毒がたたって肺炎で入院したとき。姉が「ハンニバル」という小説を差し入れてくれた。その小説の中で、レクター博士は、その学識・教養を満足させうる年輪を刻んだ町としてフィレンツェを選び、その歴史ある教会の図書館に司書として紛れ込む。人には、人それぞれその人が住むべき町がある。